【新聞掲載】心と暮らし整え 今を生きる

石巻日日新聞

終活展望

心と暮らし整え 今を生きる

住職と行政書士が語る終活

人生の終わりのための準備活動、略して「終活」が昨今さまざまな形で取り上げられている。自分自身の最期を見つめることは、決して暗いものではない。限られた時間を意識することで日常のありがたさに気付き、感謝の心も芽生える。そして残る人生をより豊かなものにする一歩につながる。人々の心に向き合う住職と地域で寄り添う行政書士が終活をテーマに語り合った。二つの視点から浮かび上がる「今を生きる」ヒントとは―。

「終活」の言葉を意識し始めたのは。

後藤さん 言葉自体は2008年ごろにあったが、たくさんの命が失われた2011年の東日本大震災後に意識するようになった。

伊藤さん 私も震災後、仮設住宅で大人向けの絵本の読み聞かせをし、九死に一生を得た被災者の話を聞く中で、終活の必要性を強く感じた。

終活相談で印象深いのは。

後藤さん 25年ほど前、年配の姉妹が寺を訪ねてきた。姉妹はそれぞれ嫁ぎ先の墓に入るが、実家の墓もあるという。でも見る人がいないのでどうすべきかと。将来を見据えた話だったが、当時は即答できなかった。これがきっかけとなり、16年前、大きな墓石を持たず維持管理を軽減した樹木葬を始めた。

姉妹の相談は現代の墓じまいに通じる。

後藤さん 家族、親戚の順で話し合うことが大事。中には親戚で墓を守ってくれる人がいるかもしれない。墓を移すか、樹木葬などにするのかはその後の話。墓じまいをしても先祖に対する供養は今後も続く。

終活はいつから始めるのがよいか。

伊藤さん 元気で頭がしっかりしているうちが理想。人は老衰や病気で死ぬとは限らない。事故や災害もあるため、あすは誰も分からない。「ものの片付け」と「ことがらの片付け」が大事で、ものには執着しない方がよい。どうしても思いを伝えたいものであれば生きているうちに、思いを受け継ぐ人に差し上げてはどうか。

コロナ禍前後で通夜葬儀の流れに変化があるようだが。

後藤さん 一般会葬者が式に参列しない形式が多い。通夜振る舞いの席も親戚以外で座る人は少ないが、ここは故人をしのんで遺族とコミュニケーションを取る大切な場。遺族が故人と親しかった人の声を聞く最後の機会でもある。通夜振る舞いでの遺品の展示、動画上映など足を止めて故人を感じられるスタイルの提案があっても良いと思う。

最後に2人から見た幸せな人生の終わり方とはどんなものか。

伊藤さん 「私の人生はどうだったか」と自分に問いかけ、その答えが良かった、幸せだったと思えればそれでよいのでは。

後藤さん 宮城出身のコメディアン、たこ八郎は「迷惑かけてありがとう」を座右の銘としていた。死去後は自分の力ではどうもできず、誰かのお世話になる。迷惑をかけても大丈夫のような関係を築いておくことは大事。「今を生きる」上では、人のつながりを重視してほしい。

※「終活」と一言いっても内容は多岐にわたり、また、人それぞれに優先させることは異なります。石巻日日新聞では読者の皆さんのヒントとなるよう、終活を見据える企画「終活展望」を随時掲載します。ご意見、ご提案をお寄せください。

対談者紹介

後藤泰彦さん(ごとうたいげん)

石巻市出身。同市・観音寺住職、一関市・常堅寺住職、(一社)てあわせ理事長、終活カウンセラー。東日本大震災後、復興団体のてあわせを設立し、復興の千本桜植樹、鎮魂の森と慰霊塔の建立などを行った。

伊藤桂子さん(いとうけいこ)

石巻市桃生町在住。行政書士として遺言や終活、農地手続き、建設業申請手続き、ハラスメント研修など暮らしに関わる全般の相談を受ける。保護司、石巻市国際交流協会理事、石巻市社会教育委員などを務める。写真説明(2ページ目):対談する観音寺の後藤住職と行政書士の伊藤さん

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