被災地に植樹 桜花悲しみに寄り添う

河北新報 平成24年(2012年)2月26日(日曜日)

桜は稲の精霊が宿り、人の魂が復活する木ともいわれ、昔から信仰のため植えられてきました。私たちは昨年6月、東日本大震災により犠牲者の慰霊を目的にして「手あわせ桜プロジェクト委員会」を設立し、被災地への桜の植樹活動を始めました。私は代表を務めています。

苗木1本1万円として「桜オーナー」を全国に募集したところ、海外を含めて、これまでに200人の賛同者が集まりました。ボランティアはできませんが、思いを桜に託します、という人が見守ってくれています。などの多くのメッセージが寄せられました。全国の多くの方が東北を思うあたたかい気持ちを寄せてくださり、その気持ちを桜の力で伝えようとしています。

植樹活動の最初の一本は、石巻市の石巻専修大学の生徒たちと同校の正門付近に植えました。この植樹がきっかけになり、市内の大須浜でミュージシャンの故・加藤和彦さんを偲ぶ桜を植樹、市民を元気づける歌謡曲を届けることができました。

松島と同市大川小学校近くの霊園とその周辺に40本を植樹しました。慰霊法要の後、被災された地域の方々約100人と一緒に汁を振る舞いました。参加者の女性が「孫が花になって生まれて変わってほしい」と話していたのがとても印象的でした。同市北部の皿貝地区にある山林に「鎮魂の桜の森」をつくる準備もしています。

宮城県内ではこのほか、津波被害を受けた東松島市の野蒜駅裏の小高い丘に15本の桜を植える予定です。石巻市雄勝町の岩手県大槌町の中学校で、卒業生と一緒に植樹する予定です。

しかし、津波の被害に遭った土地での植樹は難しく、植樹にも規制があり、思うように桜を植えられないのが現実です。

被災地の今後の地域づくりは、政府の震災復興構想会議が昨年まとめた「復興構想7原則」にある「失われたものを悼む」という追悼・鎮魂、そして復興の起点であるという理念を基本にして、各地で都市計画が具体的に進められると思います。

そこで行政の担当者には、「公園化計画」というには、津波到達地点などの場所に桜を植えてほしいと提案しています。記憶をとどめるためにも、桜を植樹できるスペースをぜひ確保していただきたい。

桜は、寒く厳しい冬に耐えて花が咲くように、生きるチカラを与えてくれる木です。どんな場所でも必ずいつか花が咲く、春が訪れるという希望を桜がもたらしてくれるのです。古来、桜は日本人の心を和ませる花なのです。桜を植えることで、掛け替えのない人の思い出がよみがえるだけでなく、悲しみに寄り添う場所があることによって、本当の復興もスタートすると思います。

何年か後に、桜が一斉に咲く時、色とりどりのこのように感じた時、桜をシンボルとして皆が手を合わせて祈り、東北の魂となって心の支えになればと願っています。

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