花に祈る樹木葬の想いが二つの被災地をつなぐ桜の架け橋に
花に祈りをこめる樹木葬の想いが、東日本大震災の鎮魂と復興の桜の植樹活動と発展し、そして最大の被災地石巻から能登地震の輪島市門前町に祈りが届くとともに、シンボルの「てあわせ桜」が今月植樹されました。
東日本大震災から13年が経過した桜満開の時期に、宮城県石巻市の皿貝観音寺で樹木葬開園式と花祭りイベントが行われました。
この会場では、能登総持寺祖院の御朱印カレーが販売され、約130人の参加者によって瞬く間に完売し、能登地震チャリティー募金も集まりました。
このイベントは、観音寺の鎮魂の桜森を管理する一般社団法人てあわせが、同じ災害を経験した能登を応援するため、総持寺からカレーを取り寄せ、支援を呼びかけたものです。
また、同会は能登震災の支援となる鎮魂と復興の桜を能登に植樹し、想いを届けることとなりました。
東日本大震災で鎮魂と復興を祈る千本の桜の植樹活動を続けてきた会の取り組みが受け入れられ、今月16日に輪島市門前町禅の里交流館で地元関係者と植樹式が行われました。
17年前の地震で修復を終えたばかりの総持寺と門前町
2007年に発生した能登半島地震で被災した総持寺祖院は、3年前に修復を終えたばかりで、さらに今年は総持寺を開いた瑩山禅師の700回大遠忌法要に当たります。
境内の伽藍を結ぶ回廊は至る所で屋根がつぶれ壁が落ち、見る影もなくなっています。
また、総持寺とともに由緒ある商店街もほぼ全てが被災し、全壊状態の店舗も軒を連ねています。
まだライフラインも未復旧の中、総持寺祖院副監院の高島老師や総持寺通り協同組合の能村代表理事を含む人々が集まり、石巻から届けられた「てあわせ桜」(品種名ジンダイアケボノ)を植樹して犠牲者の冥福と一日も早い復興を祈りました。
悲しみを乗り越える希望の桜
一般社団法人てあわせは、今後の多死社会の葬送のあり方を、樹木葬を中心とした終活をコンセプトとして運営しています。
岩手県一関市の常堅寺を拠点に活動する代表の後藤泰彦氏は、樹木葬を開園した直後に偶然にも東日本大震災が発生。その後法人を設立し、てあわせ桜プロジェクト」として、多くの尊い命の鎮魂と復興を祈る取り組みを開始しました。
このプロジェクトでは、千本の桜が被災沿岸や仮設住宅の被災者とともに植樹され、その中心地が石巻の観音寺の森となりました。
最大の被災地石巻の鎮魂の森から
石巻の観音寺の森は、教育現場における戦後最大の犠牲者を出した大川小学校から9キロの場所に位置しています。
この寺の森は、被災地沿岸400キロのちょうど中間点にあることから、平成28年祈りの場としての慰霊碑が建立され、子供達の心のケアの一環としてアスレチック施設も整備されました。
さらにこの森を鎮魂と復興の森と位置付け、地域住民が協力し祈り場としての桜の森づくりが始まりました。
桜は厳しい冬を耐え抜き、春になると花を咲かせることで希望の象徴とされています。また、この森は、水が川から海に流れ、また雨となり森に降り注ぐことで命の循環を表しています。
桜の森は、まさに悲しみを乗り越える希望と、生と死の命が受け継がれる場所として捉えられています。
手合わせで幸せが伝わる
一般社団法人てあわせは、桜の植樹活動に加えて、子ども食堂支援や高齢者にとっての終活支援など、子供や高齢者のケアサポートを継続してきました。
震災が進むにつれて、少子高齢化がますます進み、社会的に弱い立場にある人々の負担が増してきます。
門前町商店街の関係者も、「現在は炊き出しで対応しているが、個別ニーズにも対応していく必要がある」と話しています。
てあわせは、これまでの被災地支援の経験から、能登の子供達を支援する子ども食堂の運営助成金を継続的に提供することを約束しました。
東日本大震災の鎮魂と復興のシンボルとしての桜の想いが、能登への祈りと協力の手あわせとなって、伝わっていくことを願っています。
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